死神女子高生!

「女神って言ったの…?」
「そうです」

その男の人がどうしてあたしの名前を知っているのかも気になるけど、あたしはその言葉が引っ掛かった。
女神。
それは、今日聞いたばかりの単語だ。
あの変な手紙に書かれていた神話の神様は女の人、つまり女神だった。

「イザナミノミコト…」
「え?」

無意識に呟いたあたしの言葉に、幽霊はかすかに目をみはった。

「知っているのですか?」
「何を?」
「捜すべき女神さんの名前を」

今度はあたしが目を丸くする番だった。
そこまで思わせぶりなことを言われておいて、さがし人の名前も知らされていない方が驚きだ。
あたしが何も言えずにいると、幽霊はばつが悪そうに視線を少し落とした。

「実はその人、あなたが死神としてすべきことだけを一方的にまくし立てて、僕が一言も口を挟めない内にさっさと行ってしまって」
「え、じゃあ、あなたは何をするか…」
「分かりません。僕が何に協力するべきか、その女神さんはどこにいるのか、何も触れずに去ってしまいました」

あはは、と困ったように彼は笑った。
だけど言いたい。それは笑いごとではない。