死神女子高生!

そんな気持ちが顔に出ていたのか、ミコトはえへへとかわいらしく笑いながら職員室のある方角を指差した。

「みぞおちに一発入れて来た」
「あんた何やっちゃってんのぉぉお!?」
「だから、こう、わたしの愛のコブシを…ね?」
「いやいやそういうことじゃなくてさあ!」

普通、女子高生が教師に暴力振るうか?
あたしは頭痛がしてきそうな気持ちでハァと溜め息をつく。

しかし、その原因の当本人は「ため息つく朝香もかわいい~、男前!」なんてふざけていた。
かわいいと男前は正反対だろうに、何を言ってるんだか。

「平気平気、だって相手は修ちゃんだよ?」

そんなに怒られないって~、とミコトはいたって脳天気にまた笑った。

まあ、そうだろうな、とは思う。

『修ちゃん』は、あたしたちの担任『萩原修一(はぎわらしゅういち)』その人のことだ。
この高校に来たのもまだ二年前というまだ年若い教師の彼は、元々ミコトの近所に住む気のいいお兄さんだった。
あたしも小学生の頃、ミコトの家に遊びに行った時、けっこう遊んでもらった記憶がある。

それが今じゃぁあたしたちの担任なんだから、未来っていうのは分からないものだ。