こっち向いて、ダーリン。【改訂版】

それも、前に見た女の人とは違う。また変わったの?まさか浮気相手を二股?


…にしても若い人。お父さんよりわたしの方が歳が近い気がする。


茶髪で化粧が濃くてミニスカートを履いていて、お母さんとは真逆のタイプ。

でも、女のわたしから見てもしっかり可愛い。


…なんなの。


頑張れ咲良。笑顔笑顔。


「帰り道はこっちじゃないだろ。友達と遊んでるのか?」

「うん、そうなの」

「ここら辺は治安が良くないから、いくら学校の近くでもあまり通るなよ」


ならあんたはどうなのよ。


「…うん。ごめんね」

「わかればいい。遅くなるなよ。気をつけて帰れ」

「はい」

「じゃあな」


笑顔で去っていくお父さんと浮気相手。


当のわたしは、ちゃんと笑えていたかわからない。顔の筋肉が疲れているから、きっとそれなりにはできていたと思う。


仲良く歩いていく二人の姿を遠目に見ながらこぼれるため息。


今日は仕事、休みだったんだね。

明るい時間から浮気を勤しんで、いい歳したおっさんが気持ち悪いったらありゃしない。