…なんだ。俺がしたことはこいつにとってマイナスではなかったらしいな。


「良かったじゃねぇか。…今も死にてぇって思うか?」

「え~?今は思わないよ。深瀬くんのお陰で色んな経験ができたもん。もし死んでたら、何も経験しないで終わってた。それもどれも、みんな深瀬くんのお陰だよ。お父さんとお母さんに本音を吐き出せたのも深瀬くんがいたからだし。本当にありがとう」


曇りのない笑顔を向けられ、一瞬で胸が温かくなった。

逢川の為に何かできたってのが、純粋に嬉しくて。

少しでも逢川の救いになれたなら、これ以上の喜びはないと思った。


「それなら俺の台詞だ。俺があいつと分かり合えたのはお前の力だからな」

「…ふ。」

「は?」


何笑って…


「なんか、すごいくすぐったい。照れちゃうな」

「…変な奴」


なぜか俺まで照れてしまい、逢川とは反対方向に顔を背けた。


無性に顔が熱い。


誤魔化そうと頬杖をついた。