こっち向いて、ダーリン。【改訂版】

お母さんも深瀬くんと同じように傷ついていたんだ。

人伝いに聞いた話と本人から聞く話では、重みが全く違う。捉え方も感じ方でさえも。


わたし、かなり失礼なことを言ってしまったかもしれない。

高校生の、それも会って二度目のわたしにこんな話をするなんて、相当悩んでいるのだろう。


深瀬くんへの愛情を痛いくらいに感じる。


「それでもね、どんなに言ったって、心から圭悟を他人だと思ったことはないの。あんなにひどい、母親失格なことをしてしまって言える立場じゃないけれど、圭悟をいつだって愛してる」


──……深瀬くん。


深瀬くんのお母さん、ものすごく素敵な人だよ。

こんな素敵なお母さんと会わないなんてもったいないよ。


たった一人のお母さん。

深瀬くんを愛して止まないお母さん。

聞いているこっちが恥ずかしくなるくらいの、深瀬くんへの惜しみない愛情。


深瀬くんは知っているのかな?

もし知らなかったとしたら、このお母さんの想いを知ったら、深瀬くんの気持ちも少しは変わるんじゃないかな?

もしかしたら二人の想い、重なったりするんじゃないかな?


…──これは絶対会うべきだよ。


絶対にちゃんと話し合うべきだよ。話さなきゃいけない。

このままでいいわけがない。


──深瀬くんとお母さんを会わせよう。