こっち向いて、ダーリン。【改訂版】

「ううん!咲良ちゃん!可愛い名前だね!咲良ちゃんは圭悟からわたしの話、聞いたことある?」

「えー…っと…。あまり…」


ほぼないのですが、わずかな情報で深瀬くんのあなたに対する気持ちは知っているんです…。


「そっか…。圭悟はわたしを許してはくれないだろうしな…」

「え?」


『許してはくれない?』


どういう意味?


「あ、ごめんね。わたし久しく圭悟と会ってないの。顔を見るのも長いことなくてね。会うに会えないっていうか」

「…でも今ここにこうしているじゃないですか」

「今はね。圭悟、寝てるから来れたの。一度ベッドで寝ると、あの子中々起きないから」

「そうなんですね」


へ~。深瀬くんってそうなんだ。

新たな深瀬くんを知れたな。ってそっちに感心してる場合じゃないでしょ。


「庄司さんから圭悟が寝てるって聞いたから来ちゃったの。じゃなきゃ圭悟は会ってくれないから」

「…」


どうして、と口にしてしまいそうになった。


けれど深瀬くんの方を見ながら悲しげな表情をしているお母さんに、何も問いかけることはできなかった。


「わたしは寝顔を見るしかできない。まともな会話もずっとしてないんだ。圭悟の声、聞きたいな…」

「……」

「──」

「「──!!」」