こっち向いて、ダーリン。【改訂版】

さっきまではあんなに騒がしかったのに、静まり返った倉庫内には晋の声が大きく聞こえる。


怒り心頭の澤田に対し、晋は飄々とした口調。

二人のやりとりに深瀬くん以外の全員が固唾を飲んで目を向けていた。


「お前がついていながら、あの女がどうしてそこにいるんだよ」

「俺の勝手だろ」

「「「はあ?」」」


ざわめきとどよめきが一気に広がる。


「晋さん、どうしちまったんだ?」

「俺ら、澤田より晋さんについてんのによ!」

「つーか俺は晋がいるから澤田についてんだぞ!」

「No.2がトップを裏切りやがったのか?!」


動揺する不良達を余所に、晋は微動だにしない。反して澤田は怒りをあらわにして更に強く晋を睨みつけている。

一触即発な二人の空気。緊張感が倉庫内を包む。


「裏切る気か」

「元より北栄のカス共なんて仲間だと思ってねーよ」

「ふっ。おい、お前ら聞いたか?お前らが信頼している晋はお前らをカスとしか見てないらしい」


怒りを含んだ澤田の笑った顔が、余計に恐ろしさと威圧感を増す。

そして不安定だった不良達の雰囲気が、次第にケンカモードへ変わっていくのをひしひしと感じる。