こっち向いて、ダーリン。【改訂版】

もうこのままでいい。とにかく深瀬くんの所に行かなくちゃ。


と、体を引きずって深瀬くんの所に行こうとした時、縛られていたはずの両手がふいに軽くなった。


「…早く行け」

「…」


─え。


どうして晋が、こんなこと…。


手にしていたナイフで、わたしを縛り付けていた物を切ってくれた晋。

わたしに目を合わせようとせず、深瀬くんの方を見たまま一言だけ口にした。


晋がどういうつもりなのか意味不明だけど、今はそんな理由とか気にしてる場合じゃない。


急いで足かせと猿ぐつわを外し、未だに暴行され続けている深瀬くんに駆け寄った。


「もうやめて!!充分でしょ?!」


ふらふらな深瀬くんの前に立ち両手を広げる。

異様な熱気と空気に圧倒されそうになる。


震える手足に感覚などなかった。


「お前…出てくんじゃねぇよ…」


背中から聞こえた心許ない声に思わず振り返った。

思った以上の怪我に涙が凍り付く。


立っているのもきついんじゃ…


「ふ、深瀬く…」

「なんだこのアマ、誰が逃がしたんだ?」