あの様子じゃ浮気の心配はしなくていいのかな。

できそうもないよね。わたしの言葉にいちいち反応して、可愛いったらありゃしない。


思わず笑みがこぼれる。


「って、だから笑ってる場合じゃないんだった」


まだ三行しか埋まっていない作文用紙に向かい合い、とにかく思い付く謝罪の文を書き連ねる。


いくら待ってくれると深瀬くんが言ったからって、あまりに遅かったら帰ってしまうかもしれない。

基本短気だし。でもなんだかんだ言って優しいからなぁ。

とりあえず急がなきゃ!


焦る気持ちを抑えながら、わたしはひたすら空白に文字を埋めていった。





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「うわ、まだいたのかよ」

「うわっ!なんだ森野か!びっくりしたじゃん!」


集中していたところに教室のドアがいきなり開くもんだからめちゃくちゃ驚いたわ!


「反省文書くのにどんだけかかってんだよ」


呆れて半笑いの森野。さりげなく先生がいたわたしの向かい側の椅子に座る。


「もう少しで終わるとこ!あんたこそなんでまだ学校にいるのよ」


教室に森野と二人きりというシチュエーションを意識したくなくて、視線を作文用紙に戻す。


気まずさを押し殺そうと、反省文に集中しているふりをして顔を伏せていた。