こっち向いて、ダーリン。【改訂版】

だけどあの場面で俺が出ていたら、あいつの目に俺は良く映ってしまうだろう。

それじゃ意味がねぇ。


俺には誰もいらない。


何度も言ったが、俺につきまとったっていいことは一つもねぇんだよ。

今回はさすがに充分すぎるほど痛感しただろ。


「─っ、」


ビールを一気に飲み干し、また冷蔵庫を開け新しい缶に手をつける。


なんでイラついてんだよ。


何にムカついてんだよ。


どうしてこんなにも、空しさがこみ上げるんだ。


わけがわからない自分の感情を持て余すかのように、次々と缶ビールを開け飲み干していく。


窓の外が暗くなっていることに気づきもせずに、俺は飲み続けた。





─────




「深瀬!いんのか?!」


五本目を飲み終えた時、乱暴にドアが開く音と共に、騒がしく奴らが部屋に入ってきた。


「…てめぇら、ふざけんなよ」

「ちくしょう!澤田の奴、ぶっ潰してやる!!」