こっち向いて、ダーリン。【改訂版】

「…何考えてんだあいつら。赤城まで…。本気で狂ったか」

「三人からね、ダーリンの武勇伝を色々と聞いたの」

「あ?武勇伝?」

「そう!中学の頃、生徒に横暴な校長先生の車に学校の二階からペンキをかけたとか!」

「んなことかよ。なにが武勇伝だ」


ムカついたからやっただけだっつーの。


「暴走族の総長にならないかスカウトされて断ったとか!」

「当たり前だろうがめんどくせぇ」


群れて何が楽しいんだよ。しかも総長なんてやってられっか。


「あとはリンチしてた人達をこてんぱんにやっつけたとか!」

「だからそれのどこが武勇伝…」

「極めつけはスリ集団を壊滅させたって!」

「金沢が財布盗まれたって騒ぐから…って、それがなんだっつーんだよ!」

「素敵!また惚れ直しちゃったじゃないっ!ダーリン大好き!」


素敵って、こいつの思考回路ぶっ飛んでやがるな。すげぇわ。


「黙れくそ女。でけぇ声出すな。見つかるっつーの」

「ダーリン、照れないのっ」

「うっぜぇな。早く消えろ」

「はいはい、いいから座って!」


何にもよくねぇよ、と思いながら、こいつに無理やり座らせられる。


まともに相手なんてしてらんねぇ。