こっち向いて、ダーリン。【改訂版】

「澤田が深瀬に勝つか、深瀬をうちに入れて名前を上げるか、だな」

「くっだらねぇな」

「おめーはそればっかだよな!何でもかんでもくだらねぇだのだせぇだの!」

「かっこつけてな!」


かっこつけてんじゃねぇよ。どう考えてもくだらねぇだろ。


「へ~!じゃ、みんなの仲は悪くはないってこと?」

「…悪くはねぇか」

「深瀬がなにかと邪魔してくんのはうぜぇけどな。いい人ぶりやがって」

「カツアゲなんて馬鹿だろ。だっせぇ」

「カツアゲだけじゃねぇだろ!原チャ盗む時だって車上荒らしする時だって邪魔しただろうが!」


そりゃあするだろ。犯罪だっつーの。そこまで落ちたくねぇよ。


「おめーは金あっからいいけどよ!普通ヤンキーなんて金ねぇからな?!」

「親が金あるってほんと得だよな~!」

「──っ!」


─一瞬にして頭に血が上る。


金沢が何のためらいもなく言った直後、半ば無意識に、頬目掛けて右手を放っていた。


痛々しく顔を歪める金沢を見ても、イラつきは収まらねぇ。