こっち向いて、ダーリン。【改訂版】

気のせいかな。いつもより殺気がないというか、元気がないというか…。


「良かったね、咲良。これだけで済むなんて、深瀬くん機嫌がいいんだね。それでも怖かったけど」


小さく耳打ちをしてくる茉希に少し笑えてしまう。


「なにそれー。ぶつかっただけで殺されそうな言い方」

「だって!機嫌悪かったからリアルに可能性あるよ!」

「そこまで怖い人じゃないと思うけどなー」

「ええ?!なんで?!めちゃくちゃ怖いじゃん!そんなこと言う人初めて見たよ!」

「さっきからどんだけなの、茉希ってば」

「咲良が…あっ!森野くん、おはよ!」

「はよ。…なんだその顔」


気怠そうに教室に入ってきた森野まで、わたしの顔を見て目を丸くする。

当たり前か。


「なにその言い方。女の子に向かって失礼…」

「虫歯なんだって!」


わ!茉希ちゃん!

森野に虫歯なんて言ったらまた馬鹿にされるじゃないの!


「いや、これは」

「虫歯で湿布?それでも女かよ」


…あら?

からかわれるかと思ったのに、普通のトーンで言われるなんて。

その上真面目な顔で言うなんて。


わたし繊細だから傷ついちゃうじゃないの。