川沿いの道を風を切って走るシュウのバイク。
一見、大人しそうなシュウがバイクを運転できることに驚きながら、初めて間近で見るシュウの襟足や広い背中に、なんだかすごくどきどきする。
「ねえ、シュウ!」
エンジン音と風の音にかき消されないように、わたしは声を張り上げてシュウの名前を呼ぶ。
「何!?」
シュウは前を向いたまま、背中でわたしに返事をする。
「ありがとう!」
わたしは叫ぶ。あんな所で助けてくれるなんて、まるで本物のヒーローみたいだ。
「どういたしまして!」
シュウも叫ぶ。ほんのちょっとだけ照れ臭そうに。
シュウの運転するバイクはどんどんスピードを上げていく。わたしの体はシュウの背中にぴたりとくっついているけれど、わたしと違ってシュウはそれにどきどきしたりはしないのだろうか。
「アオイ!」
シュウが叫ぶ。強い向かい風とエンジン音に負けないように。
「何ー?!」
「ぼくの出した課題の調子はどう?!」
「ちゃんと毎日頑張ってるよ!まだ二日だけど…、なんだか生まれ変わったみたいな気分!」
わたしは叫ぶ。本当に、心の底からそう思った。新しい自分に生まれ変わったみたいな、そんな気持ち。



