ブォン、と聞き慣れないエンジン音、キィッとそれが止まるブレーキ音が自分の体のすぐそばで聞こえた。
穴のあいた自転車のタイヤを凝視していた顔を上げると、そこには一風変わったバイクにまたがったシュウの姿。
「…シュウ…?なんでここに?」
思わず間抜けな声が出た。
「乗って!アオイ」
「…えっ?」
「トミーさんから事情は聞いてる。早く乗って!病院まで送る!」
「でも、自転車が…」
「そんなの後でどうにでもなる。鍵だけかけて、すぐにぼくの後ろに乗って!」
シュウはそう言って、わたしにヘルメットを差し出した。
わたしはシュウに言われるがまま、パンクした自転車に鍵だけかけてヘルメットをかぶり、シュウの乗っているバイクの後ろに飛び乗った。
「しっかり捕まってて!」
すぐにエンジン音をあげて走り始めるシュウのバイク。わたしはシュウの意外にも広い背中に思い切り抱きついた。



