今夜、きみを迎えに行く。





放課後、部活前の茜がわたしのクラスにやって来た。既にトレーニングウェアに着替えた茜はいつもの茜よりかなり凛々しいイメージだ。
ショートヘアがこんなにも似合う女子はそういない。



「葵!部活行ってくる!気をつけて帰りなよー!」



まるで過保護な彼氏みたいにそう言って、茜は走り去っていく。
かっこいいのは当たり前だけど、男子以上にクラスの女子を虜にしてしまう茜。既に何人かの女子は、茜の後ろ姿を目で追っている。



自慢の幼なじみがモテるのは嬉しいけれど、そのうちに、誰かに茜を横取りされるかもしれないと思うと、気が気じゃない。



わたしはきっとまだ、茜に甘えることから卒業できていないんだろう。