わたしって、つくづくわがままで思いやりのない娘だな、と今更ながら反省する。
こんなにも、自分のことを考えてくれる祖母と母親がいて、働き者の父親がいて、生きていたときは目の中に入れても痛くないくらい可愛がってくれていた祖父がいて、いつも温かいご飯が用意された、帰る家がある。
それなのに、そのことに感謝しないどころか、いつも不機嫌に自分は不幸だって顔をして、親からも、誰からも愛されてない、だなんて。
「わたしって、馬鹿かも…」
思わずひとり呟くと、菜々が「へっ?いまなんて?」と驚いた顔で聞き返す。
「なんかさ、菜々が教えてくれたおかげで気付いたんだ。わたしがいつも不機嫌な顔してたのは、間違いだって」
「どういうこと?ちょっと、話が飛び過ぎてわけわかんない」
「こんなに幸せなのに、不幸な顔してちゃダメだってこと。茜は、いつもああやって笑ってるから、誰にでも好かれるし人を幸せにできるけど、わたしみたいに暗い顔でいたら、人を嫌な気分にさせるだけだよね」
「どうしちゃったの、葵ってば」
菜々が不思議そうに首を傾げる。
「菜々、ありがとう」
わたしは言った。しっかりと菜々の目を見て。
今日のぶんの課題4、クリア。



