今夜、きみを迎えに行く。





お昼には、お弁当を菜々と一緒に教室の机をくっつけて食べた。



「葵のお弁当って、可愛いよね」



わたしのお弁当箱を覗きこんで菜々がいった。



「そうかな?」



いつも、なにも考えずにただ食べていたお弁当。



そういえば、中学まではほとんど祖母が作ってくれていたから、お弁当はいつも自然と茶色いおかずばかりだった。
おかずは全部、ご飯のすすむしっかりとした味付けがされていて、美味しいものばかりだったけど、色味ははっきり言って最悪だった。

祖母に苦情を言ったこともあったけど、色を入れて欲しいと頼んでもせいぜい筑前煮のにんじんが花形になっているくらいで、古くさい、いかにもおばあちゃんのお弁当でしかなかった。

それが、母親が仕事をやめて母親の作るお弁当に変わると、今度は幼稚園児みたいなカラフルで可愛いお弁当に激変した。

味は、はっきり言って普通。祖母のお弁当ほどご飯もすすまないし、冷凍食品なんかも入るようになった。だけど、見た目が変わってすぐは嬉しくて喜んだっけ、とふと思い出す。

祖母は祖母なりに、母親は母親なりに、どちらも、わたしのことを考えて朝早くから作ってくれたお弁当。
それに苦情を言ったり食べずに残して帰ったりしていたわたしは、きっとふたりともを傷付けてしまっていたんだろう。