お腹がすいてたまらなかったし、本当は、誰かに今日、あったことを話したかった。



シュウという、面白いお客さんが来たこと。



わたしの作るココアを美味しいと言ってくれたこと。



だけど、こんな話をしたところで、きっと母親は喜ばない。



バスケ部の部長候補に指名されたとか、テストで学年トップになったとか、どこの大学に行きたいとか、将来は何になりたいとか。茜はきっと、そんな話を母親としていたのだろう。



だから、あんな風に母親は、楽しそうに笑っていたんだろう。



わたしみたいな、出来の悪い娘のつまらない話を聞くよりよほど楽しいんだろう。



すごくお腹がすいていたけれど、ベッドに入って布団を被って、無理矢理に眠った。