変わったことの二つ目は、この一年間の特訓のおかげで、ついにわたしが、喫茶ブランカの名物であるトミーさんこだわりのコーヒーをいれさせてもらえるようになったこと。
もちろん最初のうちは、失敗ばかり。
トミーさんに何度まずいコーヒーを飲んでもらったか解らない。
だけど、トミーさんが我慢強いことと、店が暇なおかげで、わたしは練習に練習を重ね、ついにトミーさんやジローさんのお墨付きをもらうまでになったのだ。
それもあってかこのところ、トミーさんが店を空ける頻度が前より確実に増えていた。トミーさんが仲間との音楽活動に専念するためにも、わたしが喫茶ブランカのコーヒーをマスターすることは必要なことだったのだろう。
コーヒーが苦手だったわたしも、今では店にある数種類のコーヒーを飲んで、その銘柄を当てることが出来るまでに成長した。もちろん、店に置いてあるもの限定ではあるけれど。



