今夜、きみを迎えに行く。





この一年間で、変わったこと。
まず一つ目は、茜が片想いだったバスケ部のキャプテンに、ついに告白したことだ。



告白したといっても、お互いにバスケの推薦で大学進学が決まっていて、部活からの引退なんてないようなもの、おまけに勉強にも手を抜かない真面目な二人は、お互いの気持ちを確認しただけで、付き合う付き合わないといった話には到っていないらしい。



それでも、茜が彼を思う気持ち、彼の茜を思う気持ちは痛いほど伝わってくる。

今朝もそうだ。登校中、徐々に学校が近付くと茜は妙にそわそわし始める。向かい風に煽られても気にしなかった前髪をいじりだしてみたり、スカートの裾を押さえてみたり。


そして、周りの生徒たちより頭一つ分飛び出した彼の後ろ姿を見つけると、茜は急に黙ってしまう。



告白する前は、毎朝憎まれ口を叩きあっていたふたりが、お互いの気持ちを確認したとたんにぎこちなくなるなんて、見ているこちらからすれば、おかしな話なのだけど。