小学校五年生のとき、クラスの中で『無視』とか『シカト』というのが一時期流行ったことがある。
目立つ女子を中心に始まったその遊びは少しずつエスカレートし、その対象はランダムに選ばれた。なんとなく、そろそろ自分の番かもしれないと思っていた頃、やっぱりわたしの番もやって来た。
朝、学校に行くと、なんとなくクラスの空気が違う。
「おはよう」と言っても誰も返事なんてしてくれない。
休み時間のドッチボールにも誘ってもらえなくて、意味もなく「キモい」「ウザイ」と陰口を叩かれるようになった。
違うクラスの茜や家族には、その事を気付かれたくなくて、一生懸命いつも通りに振る舞っていたけれど、その事にひとり気がついたのは、他でもないおばあちゃんだった。
「あおちゃん、学校で、なにかあったでしょう」
「なにもないよ」
「嘘おっしゃいな。顔にかいてある」
そんなやりとりのあと、ぽそりぽそりと口を開いたわたしの話を聞いたおばあちゃんは、なんと翌日、学校に乗り込んで来たのだ。
そのお陰もあって、その遊びはクラス担任の知るところとなり、公にはほとんど無くなったのだけれど、当時のわたしはそれすらも恥ずかしくて、おばあちゃんにありがとうとも言わず、それどころか「どうして学校に来たの?!」と泣きながら責め立てたのを覚えている。



