くすんだ金色のドアノブを握ってドアを開けると、カランコロンと優しい音がする。 分厚い木のカウンターの向こうにトミーさん。 カウンター席の左から三番目、いつもの席に、見覚えのある後ろ姿。 「シュウ!」 思わず声に出してしまう。振り返ったシュウはにっこりと笑っていた。 「おかえり、葵」 「アオイ、おかえり」 トミーさんとシュウ、ふたりがわたしを見て微笑んでいる。なんだかすごくほっとする。 「ただいま」 とわたしは言った。自然と、そう答えたくなったから。