その店は、古くて暇で、お客さんはほとんど来ない。



コーヒーと紅茶、サンドイッチとナポリタンとパンケーキ。


メニューはたったそれだけ。



だけど店長であるトミーさんの作るそれは、どれも魔法みたいに美味しくて。



その店にいるだけで、なぜだか心がほっとする。



いつのまにか、そこはわたしの居場所になった。



わたしはそこで、宿題をしたり、美味しいコーヒーの入れ方を教わったり、トミーさんの弾くピアノを聞いたり、素敵なお客さんに出会ったりした。



そこは、わたしの秘密基地。



大切な人が、大切なことを教えてくれた場所。