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「──ダメだ……。疲れた。」





私のその声に隣を歩いていた凪沙は足を止める。



「大丈夫?」



「私のことは気にしなくて良いから、先に行きなよ。」



「えっ、でも……。」



「湊くんと歩きたいんでしょー。早く行きなよー。」




私が、小声でそう言うと




「へっ!?!?」




と絵に描いたように驚く凪沙。





私たちは、毎年の春の行事である山登りをしている。

新しいクラス、新入生との交流を深める行事なのだが、全く楽しめない。

本当に今すぐ帰りたい。




私の隣であたふたしている凪沙。

その様子から、湊くんと一緒に行動したい事は図星なのだろう。



初詣に、一緒に行った時から、凪沙の様子がおかしいとは思っていたが、湊くんの事を好きになっちゃうとはねー。


その人、性格悪いのにね。