「ふふふ」
笑みをこぼしつつ、こんな状況の中で笑える自分。あいなは少しホッとしていた。
(ここへ来た時は『お先真っ暗』だと思ったけど、ルイスさんはいい人っぽいし、安心していいかもしれない。それに……。)
ルイスは言っていた。近々、この城に龍河と秋葉がやってくると。
どういう意味なのか全く分からないし、ルイスもシャルにはこのことを話していないみたいなので手放しで喜んでいいものか分からないが、それでも、あいなにとって龍河や秋葉と会えるのはこの上なく楽しみなことだった。
(龍河は弟だけど私よりしっかりしてるから、きっと無事だよね。ルイスさんに私の荷物預けるくらいだし。)
抱えた紙袋の重みに、あいなはジンと胸が熱くなる。龍河がルイスに渡したものだ。中には、あいな好みの恋愛系少女漫画やゲームが入っている。
(みんな、私の好きなものばかり。……大きくなって昔よりナマイキになったなーと思ってたけど、やっぱり龍河は優しい子だ……。)

