「王宮の外に出るのは、2年ぶりなんです。何かワクワクします」

そんなに長く外出もできないのかと驚いた。

「すまぬな。犯罪者でもないのに窮屈な思いをさせて、待遇改善をせねばならぬな」

王子が祥と肩を並べて歩く。

「余にはそうした実態を知っても、改善する権限はない。他にも知らぬことが多すぎる。だから療養を兼ねて国を回ろうと思うた。おそらく視察だけでは、旅の許可をもらえておらぬからな」

「もしかして、お飾りの王子と言われているのを気にしてます?」

「容赦ないな。やはり、そう言われておるのだな」

「少なくとも闘技奴隷の間では。俺たち、賭けをしてたんです。王子が勝つか、俺が勝つか」

王子と祥の会話に耳をそばだてる。

「どちらが多かったんだい?」

訊ねたのは瑞樹さまだった。

身内としても、王族としても気になるのだろうと思った。