先の見えない不安と苛立ちを抱えた旅で、本音を話せるのは、凛音をおいて他には考えられない。

「当たり前ではありませぬか。わたしは王子の護衛騎士なんですよ」

弾む声が返ってきた。

首から下げたペンダントが胸の上で、輝きを増していく。

ペンダントトップの勾玉を握りしめると、指の隙間から光が八方に漏れた。

「王子、その光は?」

上擦った凛音の声を聞いた。

溢れる光で目を開けていられず、目を閉じると腹の奥底にまで響く声が聞こえてきた。

──漸く力が満ちた。朔に其方に託し放った力で、其方も長らく難儀したであろう

恐る恐る目を開け、声のする方を見上げると、白い龍の姿があった。

──其方の身体にも力が満ちたであろう。だが、其方の身体からは未だ、怪しきモノが抜けておらぬ。龍神の力を持ってしても浄化できぬ