「自分で招いた結果だ。後悔はせぬ……後悔は」

王子は「明日は鍛錬、待っていますよ」と穏やかに言った紅蓮殿の顔も、松葉杖を手渡すわたしの顔も見ずに言った。

王子が部屋に入られたのを見届け、謁見の間へ向かった。

「凛音も呼ばれたのか」

階下の廊下で紅蓮殿に会い、共に謁見の間に入るとハーン殿の姿があった。

やはり、王子のお身体のことを問われるのだと、両陛下の前に進み出ながら思った。

「ハーン、紅蓮、凛音。すまぬな、葵が無茶を申したな」

王陛下は全てを知りながら、何も聞かれなかった。

「朔にあれほどの力を使用して、奉納試合を何も言わずに行ったのは、葵が王族として自身の判断で決断したこと。女王と共に受け止めようと話した。この先のことはわからぬが、葵を養生のため湯治にと思うておる。紅蓮、凛音、其方たちでお供をしてやってくれぬか」

王陛下は一息つき、さらに続けられた。