眉1つ動かさない凍りついた表情は、見たもの全てを石にするというメデューサを連想させた。

桔梗さまはぐっと唇を噛みしめ顔を上げ、闘技場をじっと観る。

王子は桔梗さまの青白くなった顔を覗きこみ「どうしても耐えられなくなられたら、声をおかけください」と囁かれた。

王族としての自覚は王子の方が明らかに高いのに、継承権がないばかりに王位を継げないことが虚しかった。

「玄燥どのの雇った闘技奴隷も闘うはずであっただろうにな」

王子が闘技場を睨みながら呟いた。

「玄燥どのは地下牢に監禁されておいでです。江藍の干ばつを引き起こしているダムの件も未だ、黙秘なさっておいでです」

「──そうか……。江藍へは今一度、参らねばならぬな。何らかの策を持って」

王子の愁いを帯びた表情があまりにも哀しくて、思わず王子の膝に手を置いた。