祥は長刀を足で蹴り上げ、上段に構えジリジリと間合いを詰めた。

体が熱く火照り、額から汗が滴る。

三節棍を握りしめた手が汗で滑りそうになり、ギュッと強く握り直した。

右に左に、俺の三節棍を惑わす祥の動きがつぶさに見え、繰り出される長刀を片っ端から交わした。

祥の顔が悔しさに歪み、眉を吊り上げ鬼のような形相に変わった。

「漸く本気になったか」

祥を見上げて言うと、祥は唸り声を上げて長刀を振り上げ、俺に向かってきた。

祥の顔と雄叫びから、全力疾走の動きに違いなかった。

だが、俺の目にはその素早い動きが、スローモーションの動きに見えた。

振り上げられた長刀が頭上に振り下ろされる数秒前に、俺は祥の長刀を三節棍で弾き飛ばした。

更に祥の喉元に、三節棍を突きつけた。

「くっ……」と漏らされた悲痛な声と苦悶に歪んだ表情が、俺を睨みつけた。