祥の目に険しさが宿った。

「勝てば報奨金が上がる。俺が勝てば郷里の家族は美味しい食事ができる……俺は勝たなきゃいけないんだ」

祥の吐露する心の叫びが聞こえた。

「奉納試合に出してもらえる、こんなチャンスに恵まれて。鍛錬場の片隅から、俺は王子のお姿をずっと眺めていました。騎士の方々に果敢に攻めて行かれる王子の颯爽としたお姿を」

長刀と三節棍が幾度も交錯し、小気味よい音が響く。

「いつか王子と手合わせをしてみたい。それが俺の夢だった」

この男は試合をしていることを自覚しているのかと思った。

若くして闘技奴隷になるには、相当な覚悟があってのことだろうとも思う。

だが、俺にも負けられぬ理由があるのだと、気持ちを引き締める。

「王子、俺の技を受けてもらいましょうか」

祥が一際大きな声で叫んだ。