祥はこちらの動きを観察しながら、笑顔で訊ねてきた。

まだ余裕があると言わんばかりの笑顔が癪に触る。

「お手並み拝見といきましょうか」

中段から左斜めに、勢いよく振られた祥の長刀を素早く飛び退き交わす。

祥が体勢を整える隙を逃さず、三節棍で祥の胸元を攻める。

「僅かに浅かったようですね、今度はこちらの番です」

祥は少しも慌てていない様子で長刀を正眼から振り下ろした。

「其方は減らず口が多いな。次も交わせるか?」

「大技はこのように出すものです」

祥は数歩退き、勢いをつけ長刀を片手で軽々と回し、俺の腹を目掛けて1突きした。

俺はそれを三節棍で交わし、祥を長刀ごと弾き返した。

「さすがですね。近衛騎士は伊達でありませんね」

祥は眉間に皺を寄せつつも、笑顔を作っている。

「ヘラヘラと、其方には緊張感はないのか」