「王子、手加減はしませんから」

入場口で祥は自信たっぷりとでも言いたげに、俺を見下ろした。

「当然であろう。奉納試合がイカサマとあっては興ざめだ。こちらも元より加減するつもりはない」

「王子は思いの外、負けず嫌いでいらっしゃいますね」

「──お飾りと言われるのは真っ平だからな」

祥を見上げ憮然として言うと、祥は「御心中お察しいたします」と、さらりと言い返した。

負ける訳にはいかぬと、ギュッと三節棍を握りしめ、逸る気持ちを静める。

闘技場中央まで肩を並べて進み、互いに一礼した。

体勢を構えて、審判の合図を待つ。

「始め」

審判が腕を真っ直ぐに伸ばし、旗を頭の上まで高らかに上げた。

三節棍を正眼に構え、長刀を構えた祥の動きを観ながら間合いを取る。

「鮮やかな色ですね。代々受け継がれてきた宝刀ですか」