「大げさな……」

「『烈身』は常人には僅かでも致死量に値するほどの劇薬です!! 王子がこの程度で居られるのは、王子の中に龍神が宿っているからです」

「朔の日に現れた白龍か──未だに自分が龍神の力を使ったなど信じられぬが。紅蓮といいハーン殿といい、まこと不思議なことを言う」

「あの日、白龍が王子の身体の中に入ったのは間違いありませぬ。女王が託された勾玉のペンダントで陰陽の均衡を保っているのです」

「ハーン殿が肌身離さずと仰せだった」

「龍神の力を使われた上に、龍神がお身体の中にいて、さらには劇薬まで……1度来に、ご無理が重なっております。勾玉の鎮めの気がなければ、目覚めておらぬやも」

紅蓮殿の言葉を聞いて、体が震えた。

自分が幽門の徒の秘薬を話したことが、どれほどの罪なのか、どれほど王子を危険な目に晒したのか、恐ろしくて堪らなかった。