梨花さまがわたしの耳元で囁いた。
「良い動きなんだけど、何だか……いつもと動きが違うっていうか、どうしちゃったのかしら」
梨花さまに言われて王子の動きを注意深く観ると、いつもより動きが大人しい。
「慎重すぎる気がしない?」
梨花さまがそう言って間もなく、紅蓮殿が声を張り上げた。
「王子、休憩しましょう」
「まだだ」
王子は肩で忙しく上下させ、喘ぐように息を吐きながら、紅蓮殿に向かっていく。
何度、三節棍を交わされても、弾かれても、尻餅をついても、直ぐさま三節棍を握りしめた。
額から滴る汗が王子の視界の邪魔をするのか、繰り出す技が宙を切る。
体がふらつき足がもつれても尚、紅蓮殿に向かっていく姿が痛々しかった。
「ほお、こてんぱんにやられておるな」
快活に笑いながら、王陛下が颯爽と肩で風を切って歩いてきたのは、王子がふらつき膝をついた時だった。
「良い動きなんだけど、何だか……いつもと動きが違うっていうか、どうしちゃったのかしら」
梨花さまに言われて王子の動きを注意深く観ると、いつもより動きが大人しい。
「慎重すぎる気がしない?」
梨花さまがそう言って間もなく、紅蓮殿が声を張り上げた。
「王子、休憩しましょう」
「まだだ」
王子は肩で忙しく上下させ、喘ぐように息を吐きながら、紅蓮殿に向かっていく。
何度、三節棍を交わされても、弾かれても、尻餅をついても、直ぐさま三節棍を握りしめた。
額から滴る汗が王子の視界の邪魔をするのか、繰り出す技が宙を切る。
体がふらつき足がもつれても尚、紅蓮殿に向かっていく姿が痛々しかった。
「ほお、こてんぱんにやられておるな」
快活に笑いながら、王陛下が颯爽と肩で風を切って歩いてきたのは、王子がふらつき膝をついた時だった。



