深紅の三節棍は王子の武器で代々王族男子に受け継がれているものだ。

王子は三節棍に体重を掛け、立ち上がろうとする。

倒れても倒れても、無言で何度も立ち上がろうと試みる王子の額から汗が滲んだ。

身に着けているパジャマの背中も汗で濡れていく。

「王子、無理をなさってはなりませぬ」

王子の手から三節棍がするりと取り落とされ、床に転がった。

王子はがっくりと肩を落とし、暫く両足をみつめていた。

「……夜半、接種する。痛みの激しい薬と聞いた。体を押さえよ」

パジャマの裾口から、のぞかせた王子の手足は痣だらけだった。

力無く呟いた言葉が悲しかった。

王子はわたしが退室した後、ずっと立ち上がろうとしていたんだと思うと、王子が可哀想でならなかった。

「はい」と深く頷き、王子の体を思い切り抱きしめた。