棄権など、情けなくてできるはずもない。

自分の不甲斐なさに怒りさえこみ上げてくる。

母上は龍神の力とどのように付き合っていたのだろうと思う。

龍神の加護など、くそ食らえだとペンダントを首から外し、扉目掛け投げつけた。

ペンダントはガツンと渇いた音を立て、床に叩きつけられた。

「王子!?」

タイミング悪く、凛音と共に部屋に走り込んできた侍医がペンダントを拾った。

「これは龍神の勾玉ですな」

ペンダントの無傷を確かめながら、穏やかに話しかけた。

「王子はこれを身につけておいでだったから、あれほどの力を使われても、無傷でしたのじゃ」

俺の手にペンダントをそっと握らせる。

「おみ足が利かぬと? ……診せてもらえますかな」

穏やかな声が怒りを静めていく。

凛音が侍医の後ろで眉を下げ、神妙に俺を見つめていた。