追っ手が果たして風早氏の送ったものなのかを、動かなくなった追っ手の衣服や持ち物を探った。

懐から式紙が数枚見つかった。

わたしはそれを懐紙に包んで自分の懐に入れると、周囲を見回した。

他には気配のないことを確認し、王子たちの元に引き返した。

-ー追っ手が1人だったのは幸いだったし、式紙も手に入れた。これで、追っ手の親もはっきりするだろう。

辺りに警戒、不信な点はないか念入りに確めながら、王子たちの元に戻った。

「無事だったか、怪我はないか」

王子がわたしの顔を見るなり、身を乗り出した。

わたしの無事を確認すると、王子はわたしの体をギュッと、胸に抱き寄せた。

「……葵くん」

王子の早鐘を打つような胸の鼓動が伝わってくる。

「大丈夫です。わたしは大丈夫ですから」

体の火照りを感じながら、王子の温もりが嬉しかった。

「追っ手の懐から式紙を取ってきました」