寝つけずに、窓辺で月を見上げた。

勾玉を手に取り、この勾玉を受け取らなければ……と、つい溜め息が出た。

日1日と欠けてゆく月、再びの朔まで7日。

脳裏に漆黒の闇が甦る。

恐怖と後悔で、体が冷えていく。

消えかけた心の灯火を自力では、どうすることもできない無力さが腹立たしい。

身に宿った龍神はいったい何をしているのかと、体を切り裂き引き出し、問いただしてやりたくなる。

首に下げた勾玉は輝きを失い、光る気配さえない。

壁に立て掛けた深紅の三節棍が僅かな月明かりの中で、ただ光って見える。

普段は何気なく手にしている武器の深紅色を今ほど暖かいと感じたことはない。

こんなにも紅い色だったのかとさえ思う。

鍛練場で紅蓮殿相手に振り回している武器、今ほど眺めたことはない。