「よくそんなに立て続けて、口に入れられるな」

王子が祥の食べっぷりに呆れて言った。

祥は3人分くらい食べたと思う。

お昼からは紅蓮殿が王子を背負って歩いた。

王子は何でもない風を装って、昼食も何とか1人前を食べたけれど、何となく元気がなかった。

紅蓮殿が時々、王子の具合を確かめるたび短い返事を返す程度で、後はほとんど喋らなかった。

わたしたちが思っている以上に身体の調子が良くないのかもしれない。

心配事もたくさんあるのかもしれない。

数時間歩いて、王子は紅蓮殿に「疲れておろう」とすまなさそうに、声をかけた。

「足の具合も楽になった。凛音、松葉杖を」

わたしが王子に松葉杖を手渡そうとすると、紅蓮殿が「なりません」と低い声で言い、王子を背負い直した。

「昼間より、体が熱うございます」