「そんなことないさ。……さあ、あたしたちも部屋にいこうかね。早く休みたいからね。祥、あんたも部屋へ行きな」

瑞樹さまに言われ、祥は不機嫌そうに部屋へ向かった。

わたしも瑞樹さまと部屋に向かい、荷をほどきロビーでの話の続きをした。

瑞樹さまは王子のことを口では心配いらないと言いながら、何度もため息をついた。

内心は心配で堪らないんだろうと思う。

わたしも今すぐにでも王子の様子を見に行きたいと思いながら、落ち着かず、ただ時間が過ぎた。

風呂の後、王子たちと共に夕飯を済ませた。

王子は元気そうに振る舞ってはいたけれど、疲労しているように見えた。

夜半。

隣接した王子たちの部屋から緊迫した空気が感じられ、慌ただしく人が出入りしている気配があった。

胸騒ぎがし廊下に出ると、仲居が氷嚢を持って部屋へ入っていくところだった。