無数の火の粉が天井から社いっぱいに降り注いだ。

「──消えた」

目を擦り、何度も朱雀の居た場所を見つめていたわたしたちの目に、いきなり煌々とした光が飛び込んできた。

四方八方に放たれた目映い光の中に青白い光の塊が現れ、その中から鮮やかな色彩の翼がはためいた。

「──朱雀!!」

復活したばかりの朱雀が翼を広げ、澄み切った双眸で王子を見つめていた。

焼けるほど熱かった社の中は、いつの間にか熱さが気にならなくなり、適度な風も感じられた。

「凛音、杖を」

王子の穏やかな声にハッとし、王子に駆け寄り王子の手を念入りに確かめた。

王子の手は業火の中に差し込み、朱雀の枷を外したにも拘わらず、火傷1つ負っていなかった。

「どうもしておらぬ。其方は心配性だな」

王子は松葉杖で身体を支え、穏やか過ぎるほど優しく、わたしの頭を撫でた。