気を抜かず、辺りに気配りしながら峠まで歩くと、急に視界が明るくなった。

祥は甘味と書かれた幟を目敏く見つけ、急に歩を速めた。

背負われている俺は凸凹道の振動で、内臓を激しく揺さぶられ胃液が喉元へ上がってきそうだった。

「祥くん、まだ食べるの?」

ひと休みの名目で長椅子に座り、一服する間に祥は葛餅3つ、きな粉のついた羽二重餅2皿、ヨモギ団子5本を軽く平らげ、さらにお品書きを睨んでいた。

「おい、腹を壊すぞ」

紅蓮に足のマッサージをしてもらいながら、言ってみる。

「そんなヤワな腹してねえよ」

「あんた、朝もどんぶりに大盛り2杯食べてただろ。どういう腹してんだい」

「祥くんは体が大きいから」

凛音が祥を庇って言うのが癪に障り「ダイエットしろ。体が重いと剣が鈍るぞ」ボソッと言う。