王子のさりげない仕草や気遣いや優しさが、わたしに居場所をくれた。

──ずっとこの人の側にいたい、この人を護れる自分になりたい。この人の笑顔を守りたい

それがわたしの願いになり、目標になった。

王子がお1人になられた時に何を思い、何を感じていらっしゃるのか?

朔の日以来、更に気になっている。

ご自身のことになると、殊更に多くを話さない王子が朔以降、さらにご自身のことを話さない。

昼間の脱臼も、医者への報告も心配でならなかった。

少しでも王子の役に立ちたい、そう思って日記をつけているけれど、他にできることがないのが情けないと思う。

明後日の夕刻には、八咫烏が明王の祠や四神の社の様子も伝えてくるはずだ。

何も異変がなければと思う反面、王子のお身体の不調は龍神や秘薬の後遺症の他に何もないのかが不安だった。