「あ……っ」

俺は自分の掌と少女の顔を交互に見つめた。

「痣が……あんなに悩んだ痣が」

女性は少女の顔を撫で痣がないのを確かめている。

「王……葵くん!?」

紅蓮も祥も俺と少女の頬を交互に覗きこんでいる。

「紅蓮、叔母上……何故だ」

「恐らくヒーリングだね。あんたのヴァイオリンの音とあんたの手には癒やしの力があるようだ」

叔母上は首を傾げ、言葉を探しながら俺の肩を静かに叩いた。

「ありがとうございます。本当にありがとうございます」

女性が深々と頭を提げ、俺に手を合わせる。

「顔は熱くないか?」

祥が穏やかに訊ねて少女の顔を凝視する。

「熱くない」

少女は答えて、俺を見て明るく微笑んだ。

俺はまだ納得できず、少女に声を掛けてやる余裕もなかった。

腰が抜けたみたいに、その場に座りこんでいた。