…もしかしたら、俺はお前を心から愛してしまっているのかもしれない。
でもそれは、俺達という``国´´の概念を根底から覆すことになりかねない由々しき事実だ。
なぁ、こんな時、お前ならどうする?愛の国。
教えてくれよ、フラン_____


枕元から、ジリリリリンと金属製のけたたましい音が鳴る。
やかましさに目を覚ませば、時計の針はもう7時を回っていて。
「…少し、寝すぎたな」
今日は休日だという事を考えても、いつもより寝ている時間が長すぎた。
…十中八九、あんな夢をみたせいだが。
そんな事を考えながらのそりとベッドから降りてドアノブに手をかけると、キッチンの方から美味しそうな匂いが漂ってきた。
空腹に誘われるままに、寝惚けた足をぺたぺたと引き摺りながらそこへゆく。
「おー、おはようアーサー!」
予想通りだ。
柔らかな金髪を揺らしながら、美しい恋人はアーサーのためだけに朝食を作ってくれていた。
週末を共にするようになってからは当たり前になっている光景に、思わず頬が緩む。
「ごはん出来てるから、顔洗ってこっちおいで~」
ぽんぽんと頭を撫でながら促され、大人しく洗面所へ行く。
冬の水は冷たくて、覚悟をしていないと間抜けな声をあげそうなくらい容赦なく凍りついている。
まあ、それが鈍った思考を覚醒させるには丁度良いわけだが。
「ふう……」
ようやく眠気に蕩けた目が覚め、そのままダイニングキッチンへと戻る。
もうずっと腹が鳴っていて、早いところ何かを入れてやらねばいけないだろう。
「ふふっ、アーサーのはらぺこ虫さんは相変わらず元気だねえ。…さ、召し上がれ」
食卓につき、目の前の美味しそうなハムエッグ・トーストにかぶりつく。
ジューシーな肉汁と濃厚な黄身がじゅわあ、とろりと絡み付き、ふかふかのパンと三位一体となって極上のハーモニーが口中で奏でられる。
そんな至福を味わいながら腹を満たし終えた時、フランシスがすっとんきょうな声をあげた。
「…お前、何それ?」
何それ、とはどういう意味なのか。
「なんだよ、俺の顔に何かついてるか?」
「いや、ついてるとかじゃなくってさぁ…ほら」
フランシスが差し出してきた手鏡を受け取り、そこに映るいつもと何ら変わりばえのしない筈の自身の顔を見る。
なるほど、確かに顔自体は変わっていない。
けれど、確かに驚愕すべき事態は起こっていた。
「なんっ…だよ、これ…」
そう、俺の瞳の片方が、深い青紫色に変わっているのだ。
「…お前も驚いてる、って事は、お得意のほぎょらではないんだね」
「誰がこんな何の得もない事するかよばかぁ!」
「ヒドッ。お兄さんの目の色だぜ?少しは光栄に思ってくれてもいいと思うけど」
そう言って顔を覗き込まれ、違和感に気付いた。
「お前…何か変だ、おかしい」
「何が?」
「いや、だってほら……」
目、だ。
まじまじと見つめてくるこいつの瞳の色も、片方変わってしまっている。
「…嘘だろ、神様」
俺と同じ、透けたような緑色に。

ここから流れ

お前なんか変だ

目の色かたっぽ入れ替わってる!?

どうするよ何で隠す今日休日で良かったな

なんか色々理由考え眉毛

そうか、分かった…認めるよ

お前を愛してる、本当の意味で…この世界の、何よりも……大切なひと

なぁ、お前も俺を愛してるだろ…?

だから、俺はこれを隠さない。だからお前も隠すな

会議、だね ああ。奴ら、なんて言うかな……

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