夢の景色

夢の中で見たものが前世の記憶なのかを知るために廉の家に行くけど。
久しぶりに行くからいろいろ懐かしい思い出がよみがえる。

弘樹(おっ!着いた)

初めて入るような緊張感を抱きながら廉の家のインターホンを押す。

廉「よっ!来たな。入っていいぞ。」

弘樹「お邪魔します」

「ひろく〜〜〜ん」

物凄い足音が聞こえたと思ったら、体に物凄い衝撃がきて床に倒れてしまった。

弘樹(な、何だ?)

弘樹「いって〜」

弘樹(誰だ?)

「ひろくん久しぶり!元気だった?」

弘樹「夏蓮さん!」

夏蓮さんは廉のお姉さんだ。
昔はよく遊んでいた。

夏蓮「ホントに久しぶりだね!今日私に会いに来たんでしょ?超嬉しい!!」

弘樹「久しぶりですね!」

夏蓮「昔はよく遊びに来てたのに今は全然来なくなったし。すごく寂しかったんだからね!」

弘樹「すみません。予定とかが合わなくて」

夏蓮「今日来てくれたから許す!」

夏蓮「それにしても前もかっこよかったけど、今はもっとかっこよくなっちゃって。
もう惚れ直しちゃう〜!」

弘樹「はははは」

弘樹「夏蓮さんは、昔と同じで元気ですね」

夏蓮「うん!私は元気が取り柄だからね!」

廉「あの〜」

夏蓮「何よ?感動の再会を邪魔しないでよ」

廉「悪かったな。そろそろ本題に入ろうぜ」

弘樹「そうだった‼夏蓮さん相談したいことがあるんです」

夏蓮「うん。知ってるよ。今から聞いてあげる」
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夏蓮「それじゃあ、ひろくんの見た夢について少しでもいいから教えてくれる?」

弘樹「はい。」

弘樹「正直、自分が見た夢の内容は覚えていません。でも、ひとつだけ覚えていることがあるんです。」

夏蓮「覚えていること?」

弘樹「はい。それは、女の人の顔と声です。」

弘樹「それぐらいしか夢については覚えていないんです。」

弘樹「これについては廉とも話し合いました。」

夏蓮「それで?二人の出した答えは?」

弘樹「前世の記憶です」

夏蓮「う〜ん。つまりひろくんが見た夢は前世の記憶のものなのか知りたいということだね?」

弘樹「はい。」

夏蓮「わかった。じゃあいろいろ質問させてもらうよ?わからなかったらわからないと正直に答えてね?」

弘樹「わかりました。」

夏蓮「その女の人は見たことあるもしくは会ったことはある?」

弘樹「ありません」

夏蓮「その女の人の顔を見て年齢はどのくらいだったと思う?」

弘樹「おそらく、10代後半から20代前半くらいだと思います。」

夏蓮「それじゃあ、目を瞑って。目を瞑ったらその女の人の顔でも声でもいいから頭に思い浮かべて」

弘樹「はい。」

目を閉じて夏蓮さんの手が頭に触れた。
その瞬間妙な安心感に包まれた。
そしてその夢の事が一気に頭の中に流れてきた。
するとそのまま気を失ってしまった。
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弘樹(あれ?俺は...)

夏蓮「気がついた?」

弘樹「はい。」

弘樹(そうか、あのまま気を失ってしまったんだ)

夏蓮「それじゃあ、起きれる?」

弘樹「はい。起きます」

夏蓮「結論を言うね?」

夏蓮「ひろくんの見た夢は前世の記憶で間違いないと思う。でも、ひろくんの場合は例外。前世の魂がごく最近、たぶん3〜4年くらい前にひろくんに宿ったの。」

弘樹「3〜4年前?」

夏蓮「うん。普通前世の魂はその人が生まれたと同時に宿るの。それからごく稀に、3歳くらいになると前世の記憶を思い出すことがある。」

弘樹「もしかして...」

廉「まさか...」

夏蓮「うん。ひろくんは今から3年くらい前、つまりひろくんが中学3年生くらいの時に前世の魂が宿ったの。だからその時から3年たった今、前世の記憶が蘇り始めたの。それが私が出した答えだよ。」

夏蓮「だからひろくんがその夢を少しでも
思い出せるように少しやってみたの。でも、ひろくんは途中で気を失ってしまったから。少ししか思い出せなかったと思う」

弘樹「すみません」

夏蓮「気にしなくていいよ。元々前世の記憶を思い出させようとすることじたいが少し無茶だったし。私の方こそなにも言わずに無茶させてごめんね。」

弘樹「謝らないでください。夏蓮さんは僕の相談事を解決しようとしてくれただけなんですから。」

廉「それで弘樹。なにか思い出したか?」

弘樹「うん。」

夏蓮「じゃあ、思い出したことを言ってみて?」

弘樹「夢に出てきた女の人の顔と声が前よりも鮮明に覚えています。それに加えて名前も思い出しました。」

夏蓮「名前?言ってみて」

弘樹「その女の人の名前は平木加菜です。」

夏蓮「平木加菜さん....か」

弘樹「ん?どうしたんですか?」

夏蓮「なんでもないよ」

廉「弘樹」

弘樹「なに?」

廉「どうするんだ?」

弘樹「俺...平木加菜さんを探してみるよ」

廉「そう言うと思ったよ。俺は協力するぜ」

夏蓮「私も行く!行かせて!」

弘樹「いいですけど。仕事はどうするんですか?」

夏蓮「休む!」

弘樹「え!いいんですか!?」

夏蓮「いいの!私も出来る限り協力したいし」

廉「じゃあ、決まりだな」

弘樹「うん」

廉「それじゃあ、その捜索は夏休みにはいってからだ」

弘樹「わかったよ」

弘樹「よし!じゃあもう時間も遅いし帰ろっかな?」

弘樹「夏蓮さん。今日はありがとうございます。本当に助かりました。」

夏蓮「えへへ。どういたしまして!」

廉「じゃあな」

弘樹「じゃあね」

弘樹「お邪魔しました〜!」
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廉「いいの?姉ちゃん」

夏蓮「何が?」

廉「何が?って、弘樹のことだよ。好きなんだろ?」

夏蓮「私ってそんなに分かりやすい?」

廉「うん。気づいてないのは弘樹ぐらいのもんさ。多分あいつは、からかわれてるって思ってるよ」

夏蓮「そっか。でも、そうだよ。私はひろくんが好き。大好き。この気持ちだけは誰にも負けない自信がある。」

夏蓮「でも、ひろくんは違う。私の事は姉のような存在でしか見ていない。それでも私は気持ちは伝わらなくてもひろくんの近くにいれるだけでいいと思ってた。ひろくんが全然遊びに来なくなったときは少しは気持ちは楽になるかなと思った」

廉(そんなわけあるかよ)

夏蓮「でも、無理だった。私はたまにひろくんの顔を見るだけで胸が苦しくて気持ちを抑えられなくなりそうになる」

夏蓮「でも、私は気持ちを伝える勇気も強さもない。でもそんなのを表情に出したらひろくんに心配をかけてしまう。」

廉(確かに)

夏蓮「だから私はみんなの前では、特にひろくんの前では元気に振る舞おうとしてる」

夏蓮「昨日、久しぶりにひろくんが家に来るって聞いたときすごく嬉しかった。悩み事があるって聞いたときは心配になった。」

夏蓮「悩み事を聞いたとき正直泣きそうだったしそんなの聞きたくなかった。だって、絶賛片想い中の人に前世の記憶とはいえ、女の人のことについて相談してきたんだよ。」

廉「まぁ、そうだろうな」

夏蓮「でしょ?でも、ひろくんの頼みだから聞かないわけにもいかなかった。それでひろくんが名前を思い出したと言った時はこの世の終わりかと思った。」

廉「ならなんで弘樹に協力するんだ?」

夏蓮「ひろくんが好きだから。役に立ちたい」

廉「いいのか?たぶん弘樹の言う女の人は」

夏蓮「言わないで!」

廉「....」

夏蓮「それ以上言わないで。」

夏蓮「わかってるよ。その女の人は前世の恋人かもしれないってことも、その女の人とひろくんが会ったら...ひろくんも全部思い出すかもしれないことも、もしそんなことになったら...二人が....結ばれるかも...しれない...ことも」

廉「泣くなよ」

夏蓮「泣いてないもん!」

廉「どうするの?」

夏蓮「だからといって私は諦めるつもりはないこんな長く片想いし続けたんだもん、絶対にこの気持ちは伝えたい。なんとしても」

廉「あっそ。頑張って」

夏蓮「当たり前よ!」


それぞれの気持ちが交差するなか梅雨が過ぎ本格的な夏にはいると弘樹たちは"平木加菜"を見つかるための旅に出る。