____「まだ、あなたといたい!お願い...いかないで!」____

弘樹「ん?」

弘樹(まただ。一体なんなんだ?)

夢の内容は思い出せないのに、女の人の顔と声だけが脳裏に焼き付いている。

弘樹(もういいか)

弘樹「学校行くか」
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廉「よっ!」

弘樹「おはよう」

廉「今日は居眠りすんなよ」

弘樹「あぁ、わかってるよ」

弘樹「それにしても、廉は朝から元気だね〜」

廉「そうか?普通だろ」

廉「弘樹の方はあまり元気じゃねぇな」

弘樹「まぁ、勉強しているからな」

弘樹「それに......」

廉「それに?」

弘樹「やっぱ何もない」

廉「なんだそりゃ」

廉「そろそろ席に着くか」

弘樹「まぁ。またな」

廉「おぉ、また昼にな」

弘樹(それじゃあ、今日も一日頑張るかね)
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廉「弘樹、昼飯食おうぜ」

弘樹「ちょっと待って」

弘樹「すまんすまん」

廉「どこで食う?」

弘樹「俺はどこでもいいよ」

廉「あっ、そうだ。屋上で食おうぜ」

弘樹「いいね。」

廉「よっしゃ。決まり」
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廉「それでさー.....」

弘樹(はぁぁ。やっぱ気になるよな)

廉「お〜い。弘樹く〜ん」

弘樹「え?なっなに?」

廉「何だよ。聞いてなかったのかよ」

弘樹「ごめん」

廉「まぁいいけどよ。疲れてんのか?」

弘樹「いや、そういうわけじゃないんだけどさ」

廉「じゃあ、悩みごとか?」

弘樹「まぁ、そんなとこかな」

廉「何だよ悩みごとなら言えばいいのによ。相談乗るぞ?」

弘樹「いや、いいよ」

廉「言ってくれよ。」

弘樹「え?」

廉「まじの話で心配なんだよ。お前がさ。」

廉「昨日の今日の話だけどよ。お前、珍しく授業中に居眠りするし、今日の授業なんかちゃんと聞いてたけどなんか上の空な感じだしさ。」

弘樹「.....」

廉「長い付き合いなんだ。嫌でも気づくさ」

弘樹「廉、お前.....ホモ?」

廉「なんでだよ!!ちげぇよ!!!!」

弘樹「はははは」

廉「なんだよ?」

弘樹「ごめんごめん。」

廉「まったく」

弘樹「でも、そうだな。お前には話しとくか」

廉「話す気になったか。でも時間もないし放課後に聞くよ」

弘樹「わかった」
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廉「それで?話してみな?」

弘樹「うん」

弘樹「昨日の夢でさ大事なことを見たような気がするけど思い出せないって言ったろ?」

廉「確かに言ってたな。それで?」

弘樹「でも、ひとつだけ覚えていることがあるんだよ」

廉「覚えていること?」

弘樹「うん。それが女の人の声と顔を覚えていたんだ。」

廉「うん。それで?」

弘樹「その女の人が"私待ってるから"とか"いつかまた会えると信じてるからね"とか今日の夜には"まだ、あなたといたい。お願いいかないで"とか言ってたんだよ。」

廉「それが大事なことなのか?」

弘樹「わからない。けどこれは夢っていうより俺自身の記憶の一部のような気がしてならないんだよ」

廉「それがお前の悩みか?」

弘樹「うん」

廉「なるほどな。でも気になることがあるんだけどさ」

弘樹「なに?」

廉「記憶の一部って言ってたけどさ。それはちょっと矛盾してるんだよな」

弘樹「やっぱそう思う?」

廉「だってよ、その女の人?が言ってたことは引っ越しするときに使うような言葉じゃん。」

弘樹「うん。」

廉「でも、お前はこの街に生まれてこの街で育ったるじゃねぇか」

廉「それにさっきもいったけど俺達も保育園いや、その前から一緒にいるけど、そういう女の人は知り合いにいなかっただろ?」

弘樹「そうなんだよなぁ」

廉「なんだろうな」

弘樹「うん」

廉「もしも、記憶の一部だっていうのが本当だったらさ」

弘樹「何かわかるの?」

廉「これはあくまで可能性の話だけどよ」

廉「信じられないけど。前世の記憶なんじゃねぇの?」

弘樹「前世の記憶?」

廉「うん。」

弘樹「何で...そう思うんだ?」

廉「俺はそういうオカルトみたいなのはあまり信じないけどさ。今回はそうじゃねえと説明がつかんからな」

弘樹「確かに」

廉「だからさ、確かめないか?それが前世の記憶なのか、そうじゃないのかを」

弘樹「え?どうやって」

廉「俺の姉ちゃんに聞くんだよ。俺の姉ちゃんは普通に会社働いてるけど、時々そういうのを専門的にした仕事もしてるんだよ。」

弘樹「へぇ、知らなかったな。それにしてもお前の姉ちゃんかぁ。懐かしいな」

廉「そういえば、お前けっこう俺の姉ちゃんと仲良かったもんな。」

廉「それで?どうする?」

弘樹「そうだな。相談してみるか」

廉「よし。決まりだな。じゃあ聞いてみる」
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電話中
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弘樹「どうだった?」

廉「了解だってさ」

弘樹「そうか。」

廉「明日は休日だから、明日俺の家来いよ」

弘樹「わかった」

廉「結構遅い時間だし、帰るか?」

弘樹「そうだな」

前世の記憶というものが本当にあるのなら
夢の中で見たあの女の人はもしかしたら前世の記憶の人物なのかもしれない。
もしも前世の記憶を思い出すことができれば、大事なことが何なのか分かるのかな。