_____「私....待ってるから!」
「いつかまた会えると信じてるからね!」_______



「...き!...ろき!」

弘樹(なに?誰か呼んでる?)

廉「ひろき!」

弘樹「ん?」

廉「やっと起きたか」

弘樹「あ、あぁ」

弘樹(あれ?)

夢を見た。
でも、どんな夢だったか思い出せない。
唯一覚えているのは、女の人の顔と声だけだ。
何か大事なことを忘れているような気がする。
忘れちゃダメな気がする。

廉「お前が授業で居眠りなんて珍しいな」

廉「あんなぐっすり眠ってたんだ。なんかいい夢でも見たか?」

弘樹「見た...かも」

廉「ん?」

弘樹「何か大事なことを今の夢で見た気がしたんだけど。」

廉「大事なこと?」

弘樹「うん。でも、思い出せない」

廉「ふーん。まぁいいさ」

廉「覚えてないってことはたぶんそんなたいした夢じゃなかったんだろ」

弘樹「そう...なのかな?」

廉「きっとそうさ。帰ろうぜ」

弘樹「うん」

廉「帰りなんか買って行かね?」

弘樹「いいけど。金あるの?」

廉「あんまりない」

弘樹「じゃあ行けないじゃん」

廉「仕方ない。まっすぐ帰るか」

弘樹「そうだな」

あの女の人は誰だったのか。
自分の知り合いにあんな人いなかったと思う。でも自分はあの女の人を知っているような気がする。
しかし自分の記憶をどんなに掘り返してもあの女の人との記憶は全くない。
名前もわからない。わかるのは、顔と声だけ。

弘樹(はぁぁ。まぁいいか)

心の中でため息をつきながら気のせいだと自分に言い聞かせているけど。
やはりあの女の人は何だったのかという疑問と、忘れてはいけない気がするという焦りが頭からはなれなかった。